VirtualBox_suse-test_26_03_2022_11_36_42

AlexandriteOS 3.00リリースノート

このリリースには延べ4ヶ月近くに及ぶ作業の成果が組み込まれています。3.00はセキュリティ、パフォーマンス、UI、使い勝手、信頼性などあらゆる点で2.00よりも優れており飛躍的に進化しています。 セキュリティの強化 ・カーネルロックダウンが標準で有効化されています。 ・Yama LSMが新たに標準で有効化されています。 パフォーマンスの向上 ・Gnome42の新機能により基幹部分での処理が改善されました。 ・ブートプロセスが見直され、起動が高速になりました。 ・CPUのマイクロコード(AMD・Intel共に)が追加され、パフォーマンスが改善されました。 ・動画再生時にハードウエアアクセラレータを使用するようになりました。 信頼性の向上 ・PackageKitは標準で無効化されました。PackageKitはユーザーの操作を妨害し時々システムを破壊します。 ・zypperの「パターン」機能を利用してパッケージをプリインストールするのを廃止しました。これによりアップデートで消したはずのプリインストールソフトが復活したり、余計なパッケージがインストールされることが防止されます。 ・GRUBエントリーからリカバリーモードを利用できるようになりました。systemdのレスキューモードで起動します。 ・Btrfsが標準のFSになり、システムのロールバックが可能になりました。 デザインの改善 ・libadwaira風のGtk3テーマを標準にし、非libadwaitaソフトウェアとlibadwaitaソフトウェアの見た目の差を軽減しました。 ・GRUBのテーマと起動画面が進化しました。 ・ロゴが @kr-tukimi さんが作成したエレガントなロゴに変更されました。 ・デスクトップ、ラップトップ、タブレットなどあらゆるデバイスで使いやすいデスクトップへと進化しました。 デスクトップユーザー向けに画面左上には伝統的なスタートメニューが配置されています。 タッチパネルやマウスパッドのジェスチャー(デスクトップの何もない部分を3本の指で下にスクロール)を使うと全画面のアプリ一覧が出てきます。 キーボード派の人間のためにsuperキーからのアプリ検索も使用できます。(スーパーキーを押すとGnome3のアクティビティ画面に移行します。そこで任意のキーをタイプして検索を開始できます。) ・Plymouth表示前に表示されていた余計なメッセージが消され、スッキリとした起動画面になりました。 Gnome42の変更への追従 ・ gedit と gnome-terminal はそれぞれ gnome-text-editor と console に置き換えられました。 ・libadwaitaの導入に伴い、gnome-tweaksを削除しました。後からインストールすることも可能ですが、テーマはレガシーアプリケーションにしか適用されません。これはlibadwaitaソフトウェアとそうでないソフトウェアの見た目に乖離が生じることを意味します。 その他変更 ・ gnome-extensions が削除されました。これはプリインストールされている拡張機能がユーザーがインストールする拡張機能の動作に影響を及ぼし、結果としてグラフィカルシェルが不安定になる可能性があることが理由です。(最悪の場合gnome-shellがクラッシュします) もちろん必要なパッケージをユーザーがインストールすれば拡張機能を追加することも可能です。が動作の保証はできません。 なおセキュリティと使いやすさの観点から、拡張機能を任意に追加したい場合はブラウザのアドオンからではなく以下のソフトを使用することを推奨しています。 https://flathub.org/apps/details/com.mattjakeman.ExtensionManager ・ビルドシステムとインフラの改善により大半の独自ファイルがパッケージ化されたため、積極的なアップデート配布が行えるようになりました。 ・デフォルトのシェルがfishになりました。強力な補完機能が使えます。 既知の不具合 AlexandriteOS 3.00に採用されているGnome42は従来のバージョンと比べかなり大規模な変更が行われています。これが原因となる不具合が多少残っています。アップデートで改善される予定です。 ・ファイルマネージャーのパスのバーを右クリックして「新しいウィンドウで開く」を選択するとファイルマネージャーがクラッシュします。上流に報告済みです。 https://gitlab.gnome.org/GNOME/nautilus/-/issues/2208 ・ファイルマネージャーでsambaサーバーにアクセスした際、パスワードを誤っているとセグメンテーション違反でファイルマネージャーがクラッシュします。既に報告済みのようです。 https://gitlab.gnome.org/GNOME/nautilus/-/issues/2184 ・設定画面の「共有」タブを開くとセグメンテーション違反で設定画面がクラッシュします。gnome-control-centerの仕様上では再開時に前回開いていたページと同じページを開こうとするため、以降セグメンテーション違反で設定画面が開けなくなりますが。デスクトップを右クリックして「ディスプレイの設定」を2回開こうとすることで回復できます。これはgnome-control-centerの不具合で、現在修正パッチが上流で準備されています。 https://gitlab.gnome.org/GNOME/gnome-control-center/-/issues/1727 https://gitlab.gnome.org/GNOME/gnome-control-center/-/merge_requests/1270 ・環境によって、インストール時にディスクのパーティション作成に失敗する場合があります。数回試しても駄目な場合、Gpartedとインストーラーで適切なパーティションを手動で作成、選択することで回避できます。 またプログレスバー下の表示(コピーされたファイル数 / 総ファイル数)の総ファイル数が処理が進むのに連動して後から伸びるというクレイジーな不具合があります。これは特に動作に影響を及ぼすことはありません。どちらもcalamaresの不具合ですので、こちらで修正することはかなり難しいです。 不具合ではない仕様 ・ AlexandriteOSでホームディレクトリ下のディレクトリ名が英語なのは仕様です。 これは日本語がパスに含まれていると一部のアプリケーションが正常に作動しないこと、ターミナルでの操作がしにくくなることが理由です。ただし副作用として、ファイルマネージャーのサイドバーが英語になっています。アイコンがある上に簡単な英語なので操作の支障にはならないと判断していますが、このままだと気分がよろしくないので今後なにか対策をする予定です。 ・VirtualBoxなどの仮想化ソフトウェアを使用している場合、画面が正常に描画されません。 これはVirtualBoxなどの一部の仮想化ソフトウェアが標準で非常に低い解像度をデフォルトで強制すること、及びグラフィカルシェルがソフトウェアレンダリングになることが主な理由です。画面が小さすぎる場合、 デスクトップ右クリック→ディスプレイ設定 から解像度を変更できます。 これに関しては私や上流に不具合として報告されてもどうすることもできないので仮想化ソフトウェアのベンダーに問い合わせてください。 ・インストール時に表示されるスライドがぼやけている ...

April 4, 2022 · 1 min · nexryai
VirtualBox_suse_11_02_2022_21_45_54

AlexandriteOS 3.00のロードマップ

皆さんこんにちは。AlexandriteOS開発者のnexryaiです。 AlexandriteOSの次期バージョンである3.00のおおまかな仕様とロードマップが決まったのでお伝えします。なおこれはあくまで2月11日時点での計画ですので変わる場合もあります。 予定している変更 ・デスクトップ周りの大幅な変更 Gnome42が2022年3月にリリースされる予定です。このGnome42にはかなり大きい変更が入っているのでそれに追従する形です。 まずGnomeコアアプリケーションでのlibadwaitaの導入に合わせAlexandriteOSでは非libadwaitaソフトウェアもlibadwaitaのような見た目で動く変更を導入します。具体的にはlibadwaita風のgtkテーマを採用します。 またUIの一貫性を保つためシェルテーマやアイコンテーマもこれに合う雰囲気のものへ変更します。 今バージョンからMac OS風のUIになります。Gnomeの優れた検索機能と便利な拡張機能を用いてゲームを操作するような感覚で操作できるデスクトップを目指しました。 ・ロールバック機能の実装 デフォルトのFSをbtrfsに変更します。この変更によりシステムをスナップショットを生成した時点に完全に復元できるようになります。もちろん復元しないファイルを個別に選択することも可能です。これはアップデートや設定ミスなどでシステムを破壊した際のリカバリーに非常に役立ちます。 ・ロゴの変更 AlexandriteOSのロゴが新しくなりました。kr-tukimi氏が作ってくれました。非常にモダンで清潔感があるロゴになりました。本当にありがとうございます。 ・GUIターミナルのデフォルトのシェルがfishに GUIターミナル(Gnome terminal)のデフォルトのシェルがbashからfishになりました。優れた補完機能とシンタックスハイライトをデフォルトでお使いいただけます。ログインシェルはbashのままなので互換性周りでトラブルが発生する心配もありません。 ロードマップ 中の人の個人的な事情もありリリースはまだ先になりそうです。 まずGnome42と拡張機能の互換性についてです。3月初旬にGnome42のおおまかな仕様が確定しRC版が出るのでそのバージョンのGnomeで拡張機能の互換性をテストします。そこで問題が発生したら本家にはまだ未適用のパッチを当てるなり上流にPRを出すなりしてGnome42で動作するようにします。 またAlexandriteOS 3.00では独自パッケージで一部の固有のファイルをプリインストールする予定ですがこのインフラの整備にも少し時間がかかりそうです。気長にお待ちいただければ幸いです。 最終的なリリース時期はGnome42の正式公開後を見込んでいます。 最後にAlexandriteOSのlite版ですが開発を一時保留としています。理由は色々ありますがWorkstation版と両方メンテナンスできる自信がなく開発も難航しているからです。いつ再開するかは未定です… AlexandriteOSはさらに実用的で統一感のあるモダンな体験を実現するOSを目指し、進化を続けていきます。今後ともよろしくお願いします。

February 11, 2022 · 1 min · nexryai
Screenshot from 2022-01-05 23-20-15

AlexandriteOSについてとこれからの計画

こんにちは、Ablazeのメンバーになってから気づけば3ヶ月以上経っていたnexryaiです。AblogというかWordpress自体初めてなので色々変かもしれません() さてそんな私のプロジェクトであるAlexandriteOSですが少し前にAblazeのプロジェクトの一環となりました。と言っても開発リポジトリへの書き込み権限は私(nexryai)にしかないのでソフト的には特に変わりません。 このブログでAlexandriteOSについて触れたことがないので最初にAlexandriteOSについて紹介したいと思います。AlexandriteOSの目標はモダン、安全、エレガントで安定してるローリングリリースのLinuxディストリビューションを開発することです。大半のローリングリリースのディストリビューションは不安定ですがAlexandriteOSは信頼性の高いopenSUSEのローリングリリース版のリポジトリをそのまま使用しているため非常に安定しています。セキュアブートなど現代に必要な機能も備えています。詳しくは 公式サイト で紹介しています。 現在の最新バージョンは2.00ですが現在次期バージョンの3.00を開発しています。UIの大幅な変更や安定性の向上、起動の高速化を行う予定です。3.00では以下のようなUIを採用する予定です。またKDEを採用したlite版もそのうちリリースする計画があります。 ここまで読まれて気づかれた方も居ると思います。なぜローリングリリースなのにバージョンがあるのか。AlexandriteOSのバージョン番号はデフォルトのUIや設定、プリインストールパッケージを識別するためのものです。一般的なローリングリリースのディストリビューションのように日付をバージョン番号にしてしまうと混乱するので敢えてこのような形にしています。インストールしてしまえばいつまでも使えることには代わりありません。 ここで一つ皆さんに謝らなければならないことがあります。アナウンス通りAlexandrite Syncなどの同期機能を実装する予定でしたが、開発者の事情により少し延期させてください。独自機能の実装に必要なインフラ(独自のパッケージリポジトリ)の整備に時間と費用がかかるためです。 また1.xx系と2.00はデバッグが不十分で致命的と言うほどではないものの支障が出るレベルの不具合が複数発見されています。これらの反省を活かして3.xx系はもしリリース後にパッケージアップデートでは解消できない不具合が見つかってもパッチを適用することでそれらを修正する機能を搭載する予定です。また今年の春リリース予定のGnome42への拡張機能等での対応も順次行っていきます。 最後になりましたが、AlexandriteOSは貢献者と様々なオープンソースプロジェクト(そしてその貢献者)の上に成り立っています。この場を借りて感謝申し上げます。

January 8, 2022 · 1 min · nexryai